ポートフォリオのリターン

投資資産の集まりをポートフォリオと言います。株と債券に投資しているなら、それらを合計した資産全体をポートフォリオと言います。

 

証券投資の話をするなら最初にポートフォリオのリターンの話が出てくるので、LaTexの練習がてら書いてみましょう。

 

t-1からtまでの1期間(1日とか1ヶ月とかと考えてください)の証券(資産)iのリターンを{\displaystyle R_i}、ある時点tの時価総額{ \displaystyle M_{i,t}}とすると、

{ \displaystyle R_i = \frac{M_{i,t}-M_{i, t-1}} {M_{i,t-1}} = \frac{M_{i,t}} {M_{i,t-1}}}-1

と定義することができます。

 

また、ある証券iの時点tの時価総額{\displaystyle M_{i,t}}とし、証券をn個保有するポートフォリオを考えると、その時価総額{\displaystyle M_{p,t}}は、iからnまでの{\displaystyle M_{i,t}}の合計なので、

{\displaystyle M_{p,t}= \sum_{i=1}^{n} M_{i,t} }

ですね。

 

証券iのリターンと同様にポートフォリオのリターンを、

{ \displaystyle R_p = \frac{M_{p,t}-M_{p, t-1}} {M_{p,t-1}} = \frac{M_{p,t}} {M_{p,t-1}}-1}

とします。

{ \displaystyle R_i = \frac{M_{i,t}} {M_{i,t-1}}}-1より、

{ \displaystyle M_{i,t}=M_{i,t-1}(R_i +1) }なので、

{\displaystyle M_{p,t}= \sum_{i=1}^{n} M_{i,t}= \sum_{i=1}^{n} M_{i,t-1}(R_i+1) }から、

{ \displaystyle R_p = \frac{M_{p,t}} {M_{p,t-1}}-1 = \frac{\sum_{i=1}^{n} M_{i,t-1}(R_i+1)} {M_{p,t-1}}-1 }

{ \displaystyle= \frac{\sum_{i=1}^{n} M_{i,t-1}R_i + \sum_{i=1}^{n} M_{i,t-1}} {M_{p,t-1}}-1 = \frac{\sum_{i=1}^{n} M_{i,t-1}R_i } {M_{p,t-1}} }

 

ここで期初(t-1)時点の証券iの保有比率(ウェイト)を、

{\displaystyle W_{i}= \frac{M_{i,t-1}}{M_{p,t-1}}}とすると、

{ \displaystyle R_p  = \sum_{i=1}^{n} W_iR_i }

となり、ポートフォリオのリターンは保有証券(資産)の(期初)ウェイト×(期間)リターンで簡単に表現できることが分かりました。

 

ウェイトとリターンとベクトルで表現すると、

{ \boldsymbol{W} = \left( \begin{array}{c} W_1\\ W_2\\ \vdots\\ W_n \end{array} \right) , \boldsymbol{R} = \left( \begin{array}{c} R_1\\ R_2\\ \vdots\\ R_n \end{array} \right) }

とかけるので、ポートフォリオのリターンは

{ \displaystyle R_p  = \boldsymbol{W^T}\boldsymbol{R}  }

とベクトル{ \displaystyle \boldsymbol{W} }{ \displaystyle \boldsymbol{R} }の積による内積スカラー)として表すことができました。

 

{ \displaystyle \boldsymbol{W^T} }{ \displaystyle \boldsymbol{W'} }などとも書いて、転置ベクトル(ベクトルの縦と横をひっくり返したもの)を表します。ファイナンスの参考書などを読んでいると、ベクトルは高校の時に習う矢印のついた{ \displaystyle \vec{a} }ではなく、太字で書かれていることが多いので、突然出てきても戸惑わないようにしましょう。

 

とりあえず、ポートフォリオのリターンが定義できたので今日はこれくらいで。